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おたんこナース うちの場合 [しごと]

珍しく仕事のこと。

普段、家では人として機能していないナマコのような有様なので
相方からも両親からも「ちゃんと仕事をしているんだろうか」と若干の疑問を
もたれているようですが、・・・。

うちは所帯が大きく、スタッフの年齢もピチピチの若いギャルから昔ギャルだった人まで
幅広い年齢層が働いています。

美容師さんにしろエステティシャンにしろそうだと思うのだけど、技術をもって生業とする人、
これはその人の感性が技術の幅を大きくさせるものであって、感性が無い人というのは
ザックリ言ってしまえば「向いてない」ということになるかと思うのだけど、
我々看護師(はっきり言ってなかったけど実はそうなんです)も同じだと思うのです。

へたくそな美容室やエステや歯医者さんなら行かなくなればいいだけの話しだけど
入院中「今日は私が担当です」と言われる受動的な環境で、患者さんに選択の余地が
ないぶん、年数=技術がある わけではまったく無く、大当たりもあれば大外れもある。
それこそナマコもいるし合コンクラブの会長みたいなのもたくさんいるし、
良い人=どうでもいい人、という図もあるし。

だいたいこの業界では人を確保するのに必死で、能力の査定が給料に反映するとか
いうこともなく、「低い能力は現場での指導で上げてってね(採用の段階で選別していたら
人が集まらないからさー。)」という丸投げが常です。

現場では、なんだかなーと思うことが多々あって、毎度毎度問題になることが
「入れ歯がいつからかなくなった(救急車に乗るときからして曖昧)かわからない」とか
「入院後何日か経ってから褥創があるのを見つけたけどいつからあるかわからない」とか

「私は搬送に付いただけだから知らない」「そこまで見てない」「気づかなかった」
みんな正座!アタマ出せこのバカタレ!と言いたくなることがたくさんあります。

職業意識というのは、理由はどうあれその職業を選択した自分のプライドというか、
なったからにはどうやってその中で生きていくか、そういうのが自分を支えながら
発展していくものだと、私は思っています。


毎日体を拭いているのに、なぜ気づかなかったのか?「そこまで見ませんでした。」 
えっ、じゃあどこなら見てるの?「お家ではどうしていたのだろうか?」と
気にしなくてはいけないところを「そこまで見てない」と言われたら、ポカーンだ。
高齢者は口の中をチェックするのだけど、これは義歯の有無以外にも
歯磨きという日常生活をどの程度やってきたか、とか、認知の問題とか、嘔吐とか
いろんなことを情報を得るためにチェックする。けど、チェックしましょうね、と決めていても
見ない人は見ない。

看護師なら当然そこまで見るんでしょう、アンタ素人か。ということまで
「そのとき言われなかったから見ませんでした」「こんなことになってると思いませんでした」

おぉぉーよぅ言った。お前はなんだ。その服はなんの職業なんだ。と。
限られた情報をどう掘り下げていろんな角度から考察していくことが仕事のひとつだけど
「医者のアドレスは確実にgetしたいけど、じいさんの口の中からの情報は興味なーい。」

そういうこっちゃからアドレスをgetしたところでちゃんとした相手にされないんだよ。

だいたいこういうのをやらかすのはいつも同じ人たちなんだけど、いつもいつもいつもいつも
同じようなことで注意されて、事柄によってはあなたのためにできたんですよ的な
マニュアルがあってもそれも守らず、また同じことを繰り返しすことになるわけです。

仕事が楽しくないという新人ではない後輩と面接をしていたら、
「仕事帰りは『やっと帰れる・なにも無くてよかった』とほっとする。」と言ってきました。
えっ、「よーし今日これ頑張った。明日はこうしよう。」と満足するのではなく、
ルーティン業務以外になにもなく、なにも起こらなくてよかった。と。

自分が看護師としてどうあってよかった、ということは考えないのかと聞くと
「そんなの考えたこともなかったし、その日がどうにか過ぎればいいです。」
おおおおおーーーーーーい!!!

待ってくれ。それはまずい。あんたは良くても患者さんはよくない。
患者さんはやってほしいことがたくさんあるのに、看護師はルーティン業務だけをやって
「他になにもなくてよかった」と安心しているなんて、それはいかん。

仕事場が楽しいかどうか、なんて自分次第ではないか。
キャピキャピ仲良く過ごして楽しいなんてサークルじゃないんだし、成長がなければつまらない。
昔のように、ガツガツ怒られて泣けということではなくて、日々の業務の中で自分の視野が
広がった瞬間とか、発見とか、人や対象に対する同じ技術のバリエーションが増えたとか
いろんな体験をして衝撃を受けたり人に影響を与えたりして、職場での信頼を得たり
患者さんや家族からアテにされるようになる。本日の反省を明日に生かして
地味に成長を続けていくという、積み上げていなかいと見えてこない楽しさがある。
それを「ルーティン業務だけやって帰れればそれでいい。」と言われては・・・。

だいたいルーティン業務ってなんだ。
たとえば、一昔前の主婦。主婦は一般的に家事をするとしよう。
家事の中にはいろいろあって、掃除も洗濯もご飯の支度も買い物もある。
息子の泥だらけのジャージと自分のシルクのブラウスは一緒には洗わないし
夫のワイシャツのポケットは面倒でも大事なメモやお金が入っていないか
確認してから洗濯機に入れる。これは、家事をするという範疇。
いちいち「だってポケットの中に大事なメモがあるかどうかなんか見てない。」
「ブラウスがダメになっちゃったからもう一枚買う。」とは言わない。

「あーお昼に行こうとして千円札入れっぱなしだったんだ!ありがとう!」
と夫に言われても主婦だからそんなことも想定内。これは家のことをやるプロだから。
いちいち言われてないから見てない、なんて言ってたら家庭は実質崩壊するんじゃないか。

まして主婦は給料が出ないけど、仕事となれば給料が出る。
給料が出る仕事場において、プロとしての意識がなければ仕事ではなく
「ただ来て帰るだけ。」になってしまう。骨董の中島ナントカさんじゃないけど
「良い仕事してますね~。」でなくては仕事として成り立っていないから続かないと思うのです。

人の感情もに目を向けなければそれはラク。
回復に向かう場合にしろ死が迫っている場合にしろ、
患者さんや家族のいろんな感情を汲み取ることはすごくエネルギーを使う。
だけど家族に話に耳を傾けることもなく、感情に触れることもなくただ過ぎれば
何事もなく終わる。その分達成感も、この職業だからやれることも、全部スルーするから
価値を見出すもなにもなくて、なにもなさすぎてつまらなくなっていくけど。

看護師の離職の内訳は、こういう自滅型と、それにあおりを受けて
疲弊していく人が大半を占め、残りのわずかは発展的に次の世界に向けて、
という人たちに分かれていくと思われます。

あおりを受けて疲れる側は、人と比べて疲れてしまうのではなく
さらに自分の技術と感性を磨いてよりよい仕事をする楽しみを共有する人が増えるように
頑張ろう。

自滅型は、ドクターからアドレスをgetしたものの発展しないまま年だけとるのではなく、
楽しくない理由を自分で気づいて進退を決めてほしいと願うこのごろです。
仕事になってないことで周りを疲れさせる前に。ぜひ。

ま、自分で気づくほどの感性を持っていれば仕事として成り立ってるかぁ。


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1969kana

おお、看護婦さんだったのですね(^^
なんか…大学病院に身内が入院してた時、いろんな看護婦さんがいるのを思い出しました。
実家が開業医だという独身のお医者さんがいたのですが、当時高校生だった私から見ても「狙ってンな(゚m゚*)」って態度を取ってる人とか、いましたねえ…(^^;;;
by 1969kana (2011-05-11 01:09) 

ryang

1969kanaさん
そうなんです実は(^^
OBAKAな人もSUPERな人もいて、同じ服を着ていても技術や仕事はピンキリです。本当は、患者さんのことを思ったら全員ハイレベルであってほしいですが、今の時代、どうやって生きていくかを真剣に考えるような機会がなかなかないのかもしれません。
私は、できるだけ仕事をする面白さを伝えられたらいいなあと思っていますが、興味ない人はナイみたいで(^^; 
by ryang (2011-05-11 01:59) 

LoveBeer

やはり看護士さんでしたか(^^)
(ブログ内容から)逆に違う職業だったら、サプライズでした。

病院行く度に「看護士(婦)」、すごいなーと思ってます。

スキルに差があるってのは感じるとき有りますね、単純に注射が痛い・痛くないとか(^^;)
↑ ホントにたまにすっごく痛く注射する人います。
by LoveBeer (2011-05-14 17:29) 

ryang

LoveBeerさん
今まではっきり書いていませんでしたが実はというかやはりというか(^^; 職業を選択する理由は人それぞれですが、なったからにはその道で食っていくにあたってどうあるか?を考える人がどれだけいるかはハテナです。

小さい技術で言うなら、私は採血と注射だけは冴えているので、職員検診の時などは列ができ、長期間入院している患者さんからは指名が入るので主治医に勤務を把握されます(^^; 
by ryang (2011-05-14 22:58) 

ぁゃ

初めまして。
いつもひそかに楽しませてもらっていました。
そしてやっぱり看護師さんでした(o^∀^o)あたしからすれば大先輩ですが(゜∀゜;ノ)ノまだまだひよっこ看護師です。
この前初めて犬走りに行ってみました。(ドライブにですが)いなぃかなぁ~と思ってたのですがその次の次の日にいらっしゃったようで(ノ△T)今度は道具を持って行こうかと。
お会いできたらぜひお話したいなと(`∇´ゞ
by ぁゃ (2011-05-15 00:26) 

ryang

ぁゃさん
こんばんは(^^ いらしていただいてありがとうございます。犬走堤防はお近くなんですか?私は月に2回か3回か・・・ その時の休みの状況によりけり、という頻度です。本当はもっと行ければいいのですが神奈川からノコノコ出かけるのでなかなか(^^;もし見かけたら声をかけてくださいね。 
時々しか更新しないズボラなブログですが、また遊びにいらしてください(^^
by ryang (2011-05-15 00:52) 

にしにし

なるほどなぁと感じました。
昔は、何でも2人ペアで行っていた業務ですが、最近は電子カルテをカチカチッってやると、今日のにしにしの受け持ち患者さんとやるべきケアがにょろーんとプリントアウトされ、黙々とやって終わったら帰る。どこの医療機関もそうなっているんでしょうか。若いころの私は、先輩の技術を盗もうと必死だったし楽しかった。今は、盗もうにも盗むチャンスすら無いのかも、ってことはないもんですかね。
上手ではないですが、採血とサーフロー針の刺入は燃えます。怒張のさせかたと刺入の速度がコツですよね。いまだにパンパン叩いている人がいて悲しくなりますが、抜針後の止血もうるさいほうです。
by にしにし (2011-05-22 06:15) 

ryang

にしにしさん
おはようございます(^^ 確かに、今は電子カルテに丁寧な指示簿、クリニカルパスなどなどで、やるべき業務がにょろーんと出てくるので、裏付けとか理由などを考えなくても業務はできますね。

集めた情報を結びつけてプロファイルしていき、洗い出した相手のニードを充足させるためには…と考えて自分にできること、足りない技術とか知識がないとかわかってそれまた向上のためには…などなど。これを考えないとナマコ状態な感じに(-_-)

まぁ、これ世代や職種に関係なくどこの時代も職業もこういう差はありますよね(- -;)
by ryang (2011-05-22 07:40) 

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