風呂敷を買いに 「ねーさん事件です」

職場の大御所から、風呂敷を預かりました。
同居中のおばあさんの全身姿見(鏡台)のカバーを作って欲しい、とのことでした。

「鮫小紋の風呂敷を買ったから、半分に切って長くつなげて縫って、
カバーにしようと思うの。」と言っていたと思ったら、
「ツケモノさんに個人的なお願いがあって...。」と話しかけられ、
ビクッとなったら、風呂敷を縫うのにミシンが壊れていて縫えないから
縫ってほしい。と。

正方形の風呂敷をザーッと切ってつなげればいい、と、それだけの依頼でした。

な～んだ。

「いいですよ～。」なんて安請け合いを心のどこかで心配しつつ、
「まさか、それをつなげるだけなんだから失敗するわけない。」と打ち消して、
依頼の風呂敷を受け取りました。

表が黒い鮫小紋で裏が抹茶色の麻の葉柄の両面織りの素敵な風呂敷です。

大御所：「ココ、こうやって切って上下に並べて、この50cm位を直線に縫って欲しいの。」

ツケモノ：「わかりましたっ。」
大御所：「いつでもいいから。本当に全然、いつでもいいから。」

大御所からの依頼です。いつでもと言ったって早いほうがいいし
ただの直線縫いなんだから、時間かける筋合いもありません。

言われたとおり、その日に帰ってすぐにザーッと切って縫いました。
端もちゃんと細ーく三つ折にして、ほつれてこないように。


90cm幅の大風呂敷を半分に切ってつなげるのなんて大して時間もかからない。
でーきたできた♪　もうできちゃったもんねー♪♪

糸くずを取るのに、コロコロローラーをかけてアイロンかけをしていたら、

...。　ん??

なんかヘン。

...。水玉の向きおかしくない?　

はっ、これ鮫小紋って言ってた...。　

こんな感じになってた。

①

上下で右向きと左向きに縫い合わさってる...。

<解説>
①
　　　)))))))))))
　 　 ))))))))))))
　　　)))))))))))
　　 --------------　ミシン線
　　　(((((((((((
　　((((((((((((
　 　 (((((((((((　　　　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　注：()記号は向きの説明のため　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
...。　鮫小紋てことは、これ90℃右(左)回転させた状態で

②

こういうふうに縫い合わせなくちゃいけなかったわけー。

<解説>
②
　ΩΩΩΩΩΩ
　 ΩΩΩΩΩ
　ΩΩΩΩΩΩ
　-----------------　ミシン線 　
　ΩΩΩΩΩΩ
　ΩΩΩΩΩΩ
　ΩΩΩΩΩΩ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　注：縦()にできなかったのでΩで代用

ってさせなくちゃいけなかった。
しかも①の図を見てわかるように、上下で)(の向きが違ってる。

し、し、しまったーっ!!
水玉じゃないしー!!!

えーんどうしよう。
相方さんにベソをかきながら持っていくと、あらららら～、と言いながらジッと見て、

相：「粋ですねーっ、ってことでいいんじゃない?」　
　　
いや、絶対良いわけない。

相：「気づかないんじゃない?」

いや、絶対気づく。

相：「気づいても何もいわないんじゃん?」
　
うん、言わないと思う。
それで『ツケモノさんて、やること早くてもこういうとこあるよね。』ってなる～!!

相：「...僕に言われても困る。」

そうだった。それどころじゃない。縫い直さないと。


「人生の縮図だ。」ブツブツ独り言を言いながらネットで血眼になって探しました。

同じもの。

ところが、無い。
ネット上には、違う色の組み合わせはあっても、黒の鮫小紋がない。
どうしよう。

「百貨店に行けば教えてもらえるかもよ。いろいろ問屋さんとか繋がりあるし。」

そーだそーだ。この辺には瀕死の、「腐っても百貨店の端くれ」という
百貨店があるんだわ。聞きに行こう。　

イヤだけど自分で運転して、翌日の休みに見に行きましたが
「ありませんねー。」　やはり

違う柄の風呂敷しかありません。メーカーが同じかどうかは「わからないですね。」

あげくに「全く同じものがほしいなら、このタグの会社に自分で問い合わせてみれば
いいんじゃないかしら。」と案内係りのオバチャンに言われてガックリ。
タグ付いてるんだからオバチャンが調べてくれてもいいんだよ?なんて思ったけど
小市民すぎてそんなの言えない。腐った百貨店には出かけてきた意味無し。

ドンヨリしながら、ネットで横浜高島屋が扱っていることを突き止め、電話をしました。

「お待たせいたしましたツケモノさま、
ただいまカタログを見てご案内させていただきます。」

で、「ありました。店頭にある現物を抑えて参りますので
少々お待ちくださいませ。」

なんと
すぐ行きます。今日行きます。

相方さんが夕方帰ってきたらダッシュで高島屋まで出かけました。

ベリーショートの白髪のオバサマに
「お取り置きですね。お控えはお持ちでいらっしゃる?」
若干立場逆転しているものの、さすが高島屋。
ビシッとしたオーラを放っていらっしゃった。

「あの～お電話させていただいたので、控えは持ってないんです...。」と
シドロモドロに説明すると、奥から出てきました。
黒い鮫小紋&電話案内してくれた人。

「お手元にご用意できて良かったです。」と言われて、ツケモノ感動。
やっぱね、百貨店てあるべきだと思うわけ。　do it your self !　なのじゃなくて
心のあるサービスを受けて受けた良い体験を、ベッドサイドにも生かそう。
なんて思っちゃったぐらい、感動した。

ついでに自分用に梅の花の風呂敷買っちゃった。


それで、高島屋には天一という天ぷら屋さんが入っています。
相方さんと横浜に出かけると必ず食べる天ぷら屋さん。

そこで揚げたての天ぷらをいただきました。それにしても、
どうやって注文を覚えていつのまに伝票を作っているのか?
それに天ぷらを揚げることだけでなく、お茶は、お皿は、という
職人さんの気の回りように、プロの仕事を見せてもらいました。


満腹で帰って、風呂敷を間違いなく、ちゃんと縦にザーッと切って
上下をちゃんと②の配列になるように並べて縫い、両端も三つ折にして処理して
何事もなかったかのように本日納品しました


それにしても、正方形の布を半分に切る、と言ったら、縦か横に切るだけで
1/2の確率で何も考えなくてもうまく縦に切れるハズなのに、
なぜに残りの1/2の確率で横に切ってしまったのか?

切る前に、一応気にはしたのです。
縁に付いていたタグがあったので「これが横に来るように」などと考えたのが
いけませんでした。悩んだのです。こうでいいか?いやコッチか?

で、「こうか、ヨシッ!!」と切ったらそれが間違っていた、と。
タグは上か下に来るので良かったのでした。
挙句の果てには縦横どころか左右も間違えて縫ってしまうとは。

だからいつも私の裁縫はサンプル品を作ってから失敗を元に本作品に
とりかかるんだった。や・は・り!!今回も失敗してから学習してしまった～。

おかげで、45cm×45cmのお弁当包み用の風呂敷が4枚できました。ハハハ...

はぁぁ～～～～

もうこれは事件でした。ツケモノ風呂敷事件。


はぁ、人生の縮図だ...。本当に。


ちなみに自分に買った風呂敷はコレ。

梅の花の模様の風呂敷です　ムフフ。

コメント 4

大変でしたね(^-^;
それにしても、さすが高島屋ですね。
by マチャ (2012-02-11 11:23) 

マチャさん
そうなんですー。ホイホイ請け負ってこの始末でした...。

高島屋はさすがでした。
これからも行かせてもらいます(^^!
by ryang (2012-02-11 14:16) 

断りにくい依頼なのにさらに・・・、難しいですよね。

でもナイスリカバリーです（＾＾）
by ＬｏｖｅＢｅｅｒ (2012-02-12 15:36) 

LoveBeerさん
もー、鴨の水面下の足でした。
涼しい顔してえらいバタバタバタバタ動かして(- -;
預かった風呂敷が超高級品や特注品でなくてよかったです(^^;

依頼自体は全然構わないのですが、私の場合
いちいち失敗してから本作に取り掛からないといけなかったのでした。
アナドレませんでした。
by ryang (2012-02-12 23:07)