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大がめ・中がめ・小がめ(久松) [おすすめ]

パンダコパンタならぬ、大甕中甕小甕。

先日の、足踏みミシンの横にある壺の件です。

これは、ご存知! 久松(キュウマツ)のカメです。

久松は半田にあった常滑焼のメーカーで
茶色いカメは有名だと思います。
(ツケモノ母の親族はみんな愛知県民なので
常滑は余計身近なものでもあるのかも)

11年前、初めて梅干しを作ろう。と思った時に
近所の東急ハンズで買ってきたのは、久松の1号の梅壺でした。

梅干しは完成時に半量になる、ということを知らなかったので
「これだけあれば大丈夫だろう...」と買ってきた1号の壺は
実は一番小さいものであり、1kgの梅の実しか入らなかったので
後々買い直すことになるのだけど、捨てるという発想は全くなくて
その後もツルリと綺麗な焼き物をチマチマと買い足して
全部で4つ、持っています。

手持ちの久松勢揃い (1号×1 3号×2 5号×1)
2015-07-27 15.37.48_R.jpg

今は3号のカメに3kgの十郎梅を漬けていて
来月ぐらいに干そうと思っているところ。

ずっと以前、出かけた先のホームセンターで
久松にそっくりなカメを「梅壺」「漬物壺」として
半額ぐらいで売っていて、えっ! コレでいいじゃん、と
同じサイズのを買ってきたことがあったのだけど
漬けている途中でカメの表面が細かくひび割れてきて
(これは貫入という現象らしい)、なんて粗悪なんだ、
どこの製造メーカーだったっけな? と
同じお店に箱を見に行ったら「中国製」 !!

ギョッ

まさかの中国製。

こんなカメまで中国製があるのかー! とビックリしたのと
中国製の土鍋からカドミウムが出て云々とか言ってたし
当時親が中国の青島に住んでいた時に色々聞いて
中国製品については嫌いというより怖いという思いが強くて
そのカメと共に梅2kgまで泣く泣く捨てることになったのでした。

まさか常滑とソックリの外観で、
しかもなじみの深いカメが中国製だなんて、
全く考えもしなかった。
安物買いの銭失いすぎる。

そして久松のカメはその後3号・5号と買い足すのだけど
一番使いやすいのは3号で、5号になると持ち手の無いカメは
カメ自体が重いし、さらに中には5kg分の梅が入っているし
梅干しなんかでベランダに運ぶにはけっこう恐ろしくて
「そのうちなにかを」と使われなくなっていきました。
味噌でも作ろうかな?

そして、残念なことに久松は2年ぐらい前に廃業してしまいました。
安い中国製に押されたというのと
3.11の震災の影響も大きかったようです。

確かに、大きなカメよりプラスチックの樽の方が
運ぶにも軽いし、しっかり指もひっかけられるし
便利ではある。しかも「やっぱりカメで漬けると良い!」 と
分かるほどの差は、私のバカ舌にはわからない。

プラスチックの方が良いから。と焼き物自体が
売れないならわかるけど、(プラだって粗悪なものは割れる)
海外の安い見た目同じ焼き物なら買う、けど
日本製は高いから買わない。というのは違うし
やっぱりあの外観と雰囲気と漬け込み管理のしやすさで
良いなと思うから買うというなら、
毎年の消耗品でもないのであれば日本製を
長らく使うのが一番良い。

(健康被害が出てから治療費を払うことを考えれば
国産の良いものを買っておくのが一番安上がりとも考えている)

だから販売業者も、その時だけの利潤を追求しないで
国レベルで考えて欲しいなぁとか思うのです。

贅沢でなくて、あるのが当たり前。という
長く使える良いもの。

日本製、ってからには
それを製造する人は手に職を持った職人で
その人たちが生活していけるように賃金が払われれば
販売の値段は高くなるけど、絶対にモノがいいから
長持ちするし、大事に使う。っていうサイクルです。

今みたいに景気自体が悪くて世帯収入が低下してるのを
いいことに、外国製の粗悪なものを安く売って、
壊れたらまた買えばいい。ということをしていても
次世代の物づくりはもちろん途絶えていくし
国民全体が粗暴な気質になっていくような気がして
デフレスパイラルが止まらなくなってしまう。

安いのは良いことだー! というのは
いつからそうなってしまったのかなぁ。

そういえば先日、
いよいよ無くなってしまう前にカメを買い足しておこう。と
オークションで久松を探していました。

底の刻印には「久松」というのと「久松窯」というのとあって
私が持っているカメはみんなゴシックで「久松」と
号数を表す数字と、ロット番号が刻印されているけど...
2015-07-27 15.38.11_R.jpg
どういうことだろうか??と思いつつ
久松窯というのは何だろうか?

色々検索しても出てこない。
久松のデッドストックを扱ってるお店の
森金物店さんに行き当たり、メールで聞いてみたら
(お客さんでなくてすみません)
なんと問屋さんに問い合わせてくださいました。

その間、オークションでデッドストックとなっていた
カメがいくつか出てきたという業者さんから
「国産です」「久松です」ということで買ったカメには
久松窯の刻印と、3という号数も刻印されている
2015-07-27 15.39.14_R.jpg
肌は綺麗だし箱も文書も私の知って久松。
2015-07-07 20.54.40_R.jpg
2015-07-27 15.41.44_R.jpg
2015-07-27 15.39.27_R.jpg
届いたのコレなんですけど...と森金物店さんに聞いてみると
古い在庫の中には久松窯と刻印されたものがあることを
教えて頂きました。

良く見たら、自分が持ってる
比較的新しい久松のシールにも「久松窯」て書いてあった。
2015-07-27 15.41.11_R.jpg
森金物店さんは私の好きな野田琺瑯のボウルや
久松のデッドストックを置かれていて
私は見入ってしまって、結局ボウルと
卓上用のぐるめ壺を購入したのでした(笑。
2015-07-27 16.17.27_R.jpg
雰囲気あってよろしい。
2015-07-27 16.17.39_R.jpg
何を入れるか考え中。

久松、またいつか業務再開してほしいなぁ。



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コメント 28

yes_hama

瀬戸物(そういえば瀬戸市も愛知県ですね。^^;)とプラスチックとでは熱の伝わり方が違うでしょうね。陶器の方が余計な油脂も溶けてこないし、何より耐候性に優れているし。。。
中国製、いつからこんな風になっちゃったのでしょうね。^^;
by yes_hama (2015-07-28 22:02) 

さる1号

漬物壺にもC国製が出回っていたのですね
やはり耐久性が違うんだ
値段は正直なんだなぁ
by さる1号 (2015-07-29 07:03) 

Chobi.H.YAOITA

久松が甕の市場を独占したのは、釉薬がひび割れない独自の技術があったからだそうです。ホームセンターの仕入担当者はそういうことは知らなかったんでしょうね。もちろん私も今検索するまで知りませんでしたorz
久松の復活が望まれます(祈)
by Chobi.H.YAOITA (2015-07-29 12:24) 

yumineko

同じものを入れたとしてもやっぱり焼き物の壺のほうがプラより断然美味しくなる気がします。
「和風総本家」といういろんな職人さんが出てくる番組が好きでよく見るのですが、跡継ぎがいないということで消えていく技もあり・・継げるものなら、なんて思ったりします。ちょっと跡継ぎにはトシいきすぎたけど・・^^;
by yumineko (2015-07-29 20:56) 

kou

壺ではないですが、睡蓮用に安い鉢を買ったのですが、途中で底が抜けてしまいました。
やっぱり中華製品は粗悪な物が多いですね。

国産が一番です!
by kou (2015-07-30 13:07) 

cassis

コレを買った当時は
 「おぉ、梅干作りの説明書までが
ついている!」 と少しく感動を覚えました(ン年前)。
時代は移るんですねぇ。
ちっさいのも 家にありました。緑色のやつ。

今年はワタクシ、私事全般めまぐるしく、初めて
梅仕事をしない年、になっちまいました(泣
…まぁ、いい加減なことして、失敗するよりはマシ、かなと。(負け惜しみました)。

by cassis (2015-07-30 21:22) 

LoveBeer

壷にもバッタモンがあるんですね。

雰囲気のある壷に入った梅干、なんだか美味しさが増す感じがします。
by LoveBeer (2015-08-01 08:18) 

のらん

伝統の焼き物、復活してくれると良いですね〜
by のらん (2015-08-01 13:31) 

morichan

久松、知りませんでした。
たかが瓶、されど瓶。
こうして読んでると、奥が深いんですね。
そして、ryangさんの愛情の深さに感銘(^_-)
ご購入のぐるめ壺、
どんな『グルメ』が納められるのか、楽しみ♬
by morichan (2015-08-02 13:43) 

すがめ

梅干、我が家は果物酒用ガラス瓶(日本製)で無理矢理作っています。
国産の漬物壺、憧れます♪
by すがめ (2015-08-02 16:27) 

ryang

yes_hamaさん
そうでしょうね、温度管理がしやすいと思います。
今の家では家の中での温度変化は昔ほど差がないので
プラスチックでもいいのだけど、やはり焼き物は
長く使えて好きです。
by ryang (2015-08-02 17:43) 

ryang

さる1号さん
そうですねー、まさか同じような外観で
漬物壺として中国製が出てきているとは知りませんでした。
土鍋なんかもそうですけど、良いものは高い、けど
ちゃんと良い仕事しますもんね。
by ryang (2015-08-02 17:45) 

ryang

Chobi.H.YAOITAさん
そうなんです、久松独自の技術で、美しくて丈夫で
良い焼き物でした。廃業が残念でなりません。
伝統を絶やしてほしくないけど、消費者として
自分たちが何も考えずに選択してきてしまったからですね。
復活してほしい会社です。
by ryang (2015-08-02 17:48) 

ryang

yuminekoさん
そうなんですよね、私も弟子入りしたい。とか
思ってしまいます。
焼き物とプラで作った差は、私にはわからないけども
部屋に置いてあって雰囲気があるのは間違いなく焼き物です^^
by ryang (2015-08-02 17:51) 

ryang

kouさん
なんと、鉢の底が抜けたとはスゴイですねー!!
私が買った梅壺は、蓋が半分のところで割れ線が
入っていました。半分ずつをくっつけて円の蓋を
作っているんだ!!とビックリしました。
パッと見似ていればいいってもんじゃないですよね~。
by ryang (2015-08-02 17:53) 

ryang

cassisさん
緑のもありましたねー! 卓上用の^^
懐かしいです。

梅を漬けない年、ってのもありますよね。
私は漬けたはいいけど干したの9月とかありました(笑。
今年産はこれからですが、ご希望ありましたら
発送しますのでお申し付けください!
by ryang (2015-08-02 17:55) 

ryang

LoveBeerさん
本当、そんなものまで出てきているとは知らず
痛い目を見ました。
壺、雰囲気もあってかわいらしいです^^
by ryang (2015-08-02 18:00) 

ryang

のらんさん
そうなです。常滑焼としてはいまもありますが
久松が復活してほしいです。
by ryang (2015-08-02 18:01) 

ryang

morichanさん
ありがとうございます^^
甕は多くの人が昔から見慣れている「ウチにもあた」甕で
それが海外製品(しかも粗悪なもの)に取って変わられる
というのは寂しい限りです。
みんなー、もっと日々の暮らしとその道具を
贅沢ではなくて良いものを大事に使おうよー。と思います。
by ryang (2015-08-02 18:03) 

ryang

すがめさん
果実酒ビンも良いと思います。
私も以前は果実酒ビンで作っていました。
干すとき取り出すのが大変ですけど
蓋があって空気に触れないし便利と思います。
by ryang (2015-08-02 18:04) 

ねこじたん

国産!昔の物とか復活してほしいな〜
ちうごくのは やだなの…
by ねこじたん (2015-08-03 06:10) 

ryang

ねこじたんさん
ほんと、外国での生産をすることでコストが下がりましたが
日本の産業や工芸を脅かすようになりました。
復活してほしいですー。
by ryang (2015-08-03 19:48) 

いくそむ

そうですか〜、久松カメ屋さんは廃業なのですか…、残念。ウチには寸胴の3号カメ(ふたと重しふたが木で、2キロの重し2個付き)があって、確認しましたら『久松』の刻印がありました。味噌仕込み用に購入したのですが、重しをカメの中で落としてしまってヒビが入ってしまったんですよ…。それからは梅のジップロック漬け入れみたいになってて、再購入しようとしたら、もう取り扱い終了となっていて、そういう事だったんですね〜。ホント、復活して欲しいですね。
by いくそむ (2015-08-04 00:27) 

ryang

いくそむさん
そうなんです、まさか久松が廃業に追い込まれるとは
思っていませんでした。
ひび割れてしまったのは残念ですね。
復活、本当に望みます( ; ; )
by ryang (2015-08-05 01:38) 

よいこ

いいですねぇ、そのこだわり。
家には久松の重石があります
亀も2つほどあるように思います
まさか廃業されてると思わなかったので、びっくりしました
by よいこ (2015-08-07 17:54) 

ryang

よいこさん
今は簡単にいろんなものが手に入って、ちょっと古くなると
すぐ買い換えて、という時代ですが、やはり安易なまがい物より
本物を大事に使う方が好きです。
日本人のソウルフードとも言える漬物を漬ける容器の会社が
廃業に追い込まれるとは思いませんでした。
悲しいです。
by ryang (2015-08-07 22:53) 

おか

久松のことを最近知りここにたどり着きました。
本当にかなしくなりました。
数年前に買った甕は一つは久松で二つは刻印がなかったのでおそらく中国製ですよね。
当時は何も知らず、知らないので考えもせず買ってつかっていましたが、刻印なしのは一回しか梅を漬けていないのにシミがたくさんついてなんでだろう?と思っていていました。ぬか漬けしたほうはにおいもとれません。
調べると納得です。
今回味噌をつけようと思い甕を調べていたんですが、そうでもなければ見た目わからないし、深く知ることもなかったと思います。
食べ続けるわけですから、重金属の害はこわいですし、今プラスチックはBPA環境ホルモンの害がわかっているので、本当に久松が廃業されてしまったのは残念でなりません。
もっとみんなが当たりまえに知れたらいいのに・・と思いました。貴重なブログをありがとうございます。

by おか (2022-03-22 01:22) 

ryang

おかさん
わぁ、ありがとうございます^^
本当に、おばあちゃん家の台所にあったような
むかーしからの日本の食べ物を作ってきた甕ですが
日本の会社が潰れて似て非なる粗悪な外国製が
シレ―ッと出回っていて消費者も大して知らずに
購入している、ということに危機感を覚えます。
日本にはまだまだ良い産業がたくさんありますが
これだけ景気が悪いと「安かろう悪かろう」に
負けてしまうところもあると思います。
とても残念ですよね。
味噌、これから仕込みですか?私も大豆だけは
買ってあるのですけどモタモタしています。
by ryang (2022-03-22 12:27) 

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