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くびにまくもの

人より首が多少長い私はストールやらスカーフやら、いろいろ巻物を持っています。
最近急に寒くなってきたので首に巻き始めました。
スカーフもいいけど、巻いてすぐ温かいパシュミナストールが好きです。

パシュミナってオイオイ、いつの話よ。というかんじかもしれないけど
かつて日本で流行ったパシュミナというのとは全然違うのです。

パシュミナというとストールだけのことを指している様相がありますが、違います。
ウールのストール、とかアクリルのマフラー、とかいうように、パシュミナのストール、が正解。
繊維としてのパシュミナの定義はないそうですが、通常のカシミア山羊とは違って
チャンタン高原に生息するカシミア山羊から作った毛の織物を指して
「パシュミナ」という名称になるわけです。
それでストールならパシュミナストール、マフラーならパシュミナマフラーということになります。

でも繊維のカテゴリとしてはカシミアはカシミアなので、
百貨店なんかではカシミア100%としてタグが付けられます。

だけど繊維の定義にパシュミナが無くてカシミアに分類される分、本物がなにか、
もしかするとバイヤーも分かってないかもしれないので、アクリルに100%PASHIMINA
なんてタグが付けられたりして、ニセモノが巷にあふれかえりました。

シルクを入れたほうが強度も増すし、発色・光沢も良いので、だいたいシルクが入ったり
ひどいものはアクリル100%だったりするのです。
パシュミナ=なんかしらないけどパステルカラーの巻くモノ として認識している人は多いです。

じゃあパシュミナってなんだろうか。

そもそも原料はチャンタン高原に住むパシュム(英語でカシミア)という小型の山羊から
遊牧民が冬毛を梳き取ります。その毛を商人が買い取り、それがカシミールの工房に売られて
糸に紡がれ、そして手作業で織られていきます。
(インドでは女の人が糸をつむいで男の人が織る、というのが一般的)

織り方は斜文織とダイヤモンド織があります。
これが伝統的な織り方をしたストールは鳥の目と言われるダイヤモンド柄に
織られていて、とっても美しいのです。糸は繊細で柔らかく、そして温かい。
それはそんなチベットにいる山羊の冬毛が原料なんだから温かいに決まってる。

だからネパールだかの工場で、直輸入だから1枚3,000円! というのはすごーく怪しい...。
だってそんな厳しい寒さと乾燥の地で限られたカシミア山羊から梳きとった毛が
なんでそんな大量にバンバン日本に入ってくるのか? しかも1枚3,000円ぐらいで。
いくらインドがルピーだからって。

説明文は大そうで「繊維が細かいため機械では織れません」とか言う割に
めっちゃ機械織りしてあるしフリンジの端が小さいポンポンみたいなアクリル状態だし、
でも知らない人は「パシュミナねー。私も持ってるけどー。」 ええー。
そりゃタダのアクリルマフラー... あわわわわ。
そんなこと言わずに、一度本物のパシュミナ触ってください。

でも本物といえど、糸の段階ですでにモノが違うものもあります。
1本の糸で織られている(1PLY)もの、2本の糸を縒って1本にして(2PLY)
織られているものがあるし、織り目もザックリしたものと詰まっているものがあります。
2PLYで目が詰まっているものが高い。

そして、細い糸にして織り上げたものは弱いので
超上等なものは織物自体の弱さを補うために始められたという手刺繍があり
マハラジャに納められるようなものは計算された刺繍が全体的に施され、
これはもう目玉が飛び出すほど高価で、私のお給料なんかじゃ全然買えません。
完成するのに1年~もっと年単位でかかるのだそうです。

でもこれはカシミールの職人たちに入るお金はごくわずかで
中間マージンが莫大なので、職人の跡を継ぐものがいないのだそうです。
今の時点で刺繍を辞めたら収入自体がなくなるので、辞めるに辞められないといいつつ
職人たちも目が見えなくなってきてたり手が利かなくなってきたりで
伝統が途絶えそうなのだそうです。(そんなの困る。ちゃんと賃金を渡してくれー。)


私が持っているパシュミナストールはこれら。
10年前から地味に集めています。みんな刺繍などなく無地で2PLYです。
だいたいいつも首にぐるぐる巻いて使っています。
IMG_0911.JPG

ザックリ編まれているもの2枚。確かに相対的には安かった。
大きいダイヤ柄で端には織った人のサインが入っています。
オレンジ
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レモン
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これらは毛が太いのでカジュアルな雰囲気ですが、羽織心地は優しいです。
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パープル
これは色々調べていたときに買った「これこそ本物! 」と喜んだものの
その後、本当に良い物を手に入れて比べたらガサガサした感じ...
このお店は一番もっともらしいこと言ってて高かったのになぁ。
知らないってこういうこと。
IMG_0909.JPG
目が詰まっているわりに糸が太く、これもカジュアルです。ま、これはこれ。
IMG_0913.JPG

これはパープルの後に手に入れたピンク。唯一、印度良品で買いました。
これが一番高かった。こうやって並べるとやはり手触りとか目の詰まりとか織りとか、
すばらしく秀でているのがわかります。温かく、ぬめりがあって本当にスバラシイ。
こんなことなら初めからここで買えば良かった、といっても、それまで知らなかったから…
IMG_0907.JPG
織り目の飛びもなく上品なので、ここまでくると割とフォーマルチック。
IMG_0915.JPG
すごくスバラシイ。しかし私の持っている服との配色が難しい...。

ナチュラルブラウン
これは新規参入してきた別のお店からアウトレットということで安く購入。
でも日本の規格ではアウトレットかもだけど海外だとこれぐらいデフォじゃないの? 
手織りなんだし...。だがしかし、黒い太い毛がかなり多い。そしてちょっと雑。
まぁ、サイズは一番大きいけどかさばらないし、普段使いで一番活躍している1枚です。
IMG_0917.JPG

すべてダイヤモンド織りでひし形の模様が出ているのがわかりましたか?


他のも買ったことがありますが、うう~~ん。
なんだろう。いかにもな説明文だったけど、多分違う。パシュミナではない何か、です。


いつか私も素敵な総刺繍入りのストールが買えるようになりたいなぁ。



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evergreen

マニアですな。

分野は違えど、
マニアはマニアをリスペクトするもんです。

マニアマニアと呼ばれるのは褒め言葉なんですな。
by evergreen (2011-11-20 01:53) 

ryang

evergreenへ
フーン。どうもありがとう。
いつか刺繍入りストール買ってくれー。
by ryang (2011-11-20 02:40) 

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