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茹で芋と蒸し芋の比較 [こんにゃく]

自分の好きなこんにゃくを作るべく
比較検討中の過程であります

前回は非加熱の生芋を使って
加熱はのりかきのみで作ったこんにゃくでした

生芋で作ると芋の粒々が目視できる感じで
これがのりかきだけの加熱では
「私の好み」の滑らかな舌触りには不十分
ということではないか

しかし茹でた場合、残って冷めた茹で湯に
透明の厚い膜が出来ていて
これは茹で湯にマンナンが流出している
のではないか、みすみす捨てるのはもったいない...?
という疑問がありました。

加熱によるデンプン質の変性という目的において
茹でる以外に加熱の方法は何が良いのか?という探求です

ということで、今回は蒸すという形で
加熱の工程を踏んでみます

蒸しと茹での比較ですね

芋は深山勝り(みやままさり)という品種で
歩留まりが良く(マンナン含有量が多い)
病気にも比較的強くて栽培しやすい、というものだそう

この芋は部分的に傷んでいた
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※こんにゃく芋は傷みやすいので
傷んできたところがあったらそこをえぐって
乾燥させておけばそれ以上広がりません

今回は悪くなっている部分をカットして
残りをそのまま使います

蒸してみる
2019-11-25 11.03.28-1_R.jpg
芋の断面にゲル状の物質
2019-11-25 11.17.45_R.jpg
マンナンと思われます

600gは茹でてみる

これは茹でた後の雪平鍋だけど
茹で湯の方にはこのように泡が出ていて
これはアクですね
2019-11-25 11.21.29_R.jpg
茹でた後の芋の表面にもゲルは付いているけど
割とマットな質感

蒸し芋も茹で芋も、鍋から出すときは
箸だと滑ったときにマンナンを削いでしまうので
竹串で刺して取り出します

それぞれ300gずつ計りとって比較します
炭酸ナトリウムは8gを150mlのお湯で溶解
水は加熱後の芋の重量の3.5倍で用意

今回は実験のために水分量は同量で3.5倍、としたけど
このあたりの量としてはその時の芋の状態で
もっと水を減らしたり足したりして良いと思う
(前回は3.3倍で作ったのだった)


本日は全く単独作業で途中の写真がない

加熱芋なのでお湯ではなく水でミキシング
この時点ですでにタネの性状が明らかに違う

蒸した方は茹でたのよりベタベタでデンプンのりみたい 
色は白滝のように真っ白
茹で芋のタネの方が緩い
そして色はなんとなくピンク

炭酸ナトリウムを泡立て器で混ぜると
蒸した方は一旦バラバラになった後頑張ると混ざる 
なにしろ重たい 
茹でた方は割とすぐに満遍なく混ざる
炭酸ナトリウムを混ぜ混むとまた色が変わって
蒸しの方がベージュがかって
茹でのほうがグレー

どっちもツヤがあるけど
蒸した芋からの方が質量として密度が高い感じ
水分が多くてウルッとしてるのは茹でた方


これが蒸し
2019-11-25 13.08.34_R.jpg

こっちが茹で
2019-11-25 13.08.35_R.jpg

1時間後に8等分にカットして茹で始めます

触った時の弾力が全然違って
白いバットの蒸しの方がカチッとブリブリしている
ステンレスの茹での方が柔らかくて取り出すの大変

これはやはり蒸しはマンナンの流出が少ないからなのかも

蒸し芋
2019-11-25 14.11.31-1_R.jpg
ピッチリ四角い角

茹で芋
2019-11-25 14.11.30-1_R.jpg
すでに形が緩い

!!

蒸した芋で形成した方の鍋にこの段階で泡
先ほどの茹で芋の時の様にアクが出てきている

左が蒸し 右が茹で
2019-11-25 15.20.01_R.jpg
茹でた芋から作ったものは形成の時ですでに緩く
その後の凝固の茹でにおいても
かなり変形したし、上げた時も柔らかめ

カットしてみましょう
まずは刺身でいただきます

下が蒸し 上が茹で
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茹でた芋で作った方は自立できずに
倒れて斜めになるけど
蒸した芋で作った方は薄く切っても自立

左が蒸し 右が茹で
2019-11-25 15.34.09_R.jpg
右の茹での方があからさまに柔らかい

同じ芋の量で作って
これだけ弾力の差が出たということは
やはりこの差はマンナンの量であって
芋を茹でる、という工程で
蒸しよりもアクとマンナンもそれなり抜けている
ということなのだろう

そしてアクと共に香りも抜けているらしく
香りとしては蒸しの方が良いというか強い
滑らかさとしては、弾力以外はどちらも良い

うーむ

蒸した芋で作るにしても
もっとトロリを目指すのであれば
水分量を4倍とかで作ったら良いのかも?

てことは、蒸した芋で水分量を増やせば
香りがよく柔らかくて量も確保できる
ということなのだろうか

でもそうするとマンナンしかありません状態の
ペタッとした均一の量産品みたいになりそう


ある程度、ある程度のボクトツさは必要だもの

茹で芋で作るのはコスパとしては悪いかもだけど
あの不溶性食物繊維の感じがあんまり薄まると
素朴さを装ったちょっと違う「これじゃないんだ」になりそう
まるで「東京で食べるご当地もの」みたいな
(どこまで東京で出てくる地方食が嫌いなんだ)

自分の好みとしては食べた時のトゥルッと感があって
ブリブリとかザクザクとかでなくて
ぷるりと柔らかい口当たりをヨシとする

茹で芋製法の場合、香りとしては若干蒸しより劣るけど
生芋から作るだけあってそれなり良い香りはあるし
目指すのは滑らかでありつつ素朴な舌触り
口当たりの柔らかさ、香り

上品だけど素朴、っていうこんにゃくが好き

そんなわけで、前回の非加熱生芋から作る製法も
踏まえて、自分好みのこんにゃくは現時点では
生芋を茹でてから作るという製法だということがわかった


煮た時の味の含みはどうなんだろう
それはまたいずれやってみよう



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